「泳げないまま大人になってしまった」
水に入ったはいいけれど、何から手をつければいいか分からない。
そういう人は、実は珍しくありません。
泳げない理由は、運動神経でも体力でもなかったりします。
多くの場合、体に力が入りすぎて自然に浮く感覚をつかめていないだけです。
逆に言えば、そこさえほどければ水はちゃんと体を受け止めてくれます。
泳げないのは力みのせい

泳げない人の多くは、水をこわいものとして体が覚えています。
こわいと体は縮こまり、肩や腕にぎゅっと力が入ります。
この力みこそが、実は体を沈める一番の原因です。
力むほど体は沈む
人の体は、息をたっぷり吸えば水よりわずかに軽くなります。
本来、何もしなくてもプカッと浮くようにできているわけです。
ところが力が入ると、関節が固まって体が一本の棒のようになります。
棒になった体は水面でバランスを取りにくく、足から沈んでいきます。
つまり、がんばるほど沈むという皮肉な仕組みですね。
息を止めると重くなる
こわいと、人はつい息を止めてしまいます。
ところが肺の中の空気が少ないと、体は浮き袋を半分しぼませたような状態になります。
これではなかなか浮けません。
大きく吸って、ゆっくり吐く。
この呼吸のリズムだけで、水との関係はずいぶん変わります。
ひとことアドバイス
うまく泳ごうとせず、まずは沈まないだけを目標にしてみましょう。
まず浮くだけをやってみる

泳ぎの練習というと、いきなり手足を動かす姿を思い浮かべがちです。
でも、最初にやることはもっと地味です。
ただ水に浮く。
これだけを、順番に体へ教えていきます。
壁につかまって脚を浮かす
まずはプールの壁に、両手でしっかりつかまります。
大きく息を吸ったら、顔を水につけて脚をふわっと後ろへ伸ばしましょう。
うまく力が抜けると、脚は勝手に水面へ上がってきます。
最初は10秒もできれば上出来です。
10秒を3回、これを目安に繰り返してみてください。
けのびで進んでみる
壁で浮けるようになったら、次はけのびです。
壁を軽く蹴って、両手を前に伸ばし、体を一直線にして水面をすべります。
ポイントは、進もうと焦らないこと。
潮に乗った木の葉のように、ただ水に運ばれる感覚を味わいます。
たった数メートルでも、自分の体が水の上を進む感覚は新鮮です。
正直、ここまで来ると少し楽しくなってきますよ。
顔をつけるのが怖いとき
とはいえ、顔を水につけるのがこわい人もいます。
その場合は、洗面器やシャワーで顔に水をかけるところからで大丈夫です。
次にプールで口だけ、鼻まで、目まで、と少しずつ沈める範囲を広げましょう。
息を鼻からフーッと出すと、水が鼻に入りにくくなります。
あせらず、怖さが薄れるのを待てば十分です。
一人でも続くプール習慣

泳ぐ練習は、人目が気になると一気にハードルが上がります。
一人で黙々とやりたい人ほど、環境選びが続けるコツになります。
空いた時間を選ぶ
プールがすいている時間は、施設によって違います。
平日の午前や、夕方の早い時間あたりがねらい目でしょう。
すいていれば、自分のペースで何度も浮く練習ができます。
周りを気にせず失敗できる、これが上達には案外大切です。
25mを泳ぎ切らない
多くの人が、いきなり25mを泳ぎ切ろうとして息切れします。
でも、一度に長く泳ぐ必要はまったくありません。
5mけのび → 立つ → また5m、これを繰り返すだけでも立派な練習です。
距離を区切ると、怖さも疲れも小さくなります。
登山で頂上だけを見ず、目の前の一歩を数えるのに似ていますね。
とはいえ、これがすべての人に当てはまるとは限りません。
体の硬さや過去の経験で、進み方は人それぞれです。
ひとことアドバイス
今日は浮くだけ、と決めて行く日があってもいいですよ。
今日からできること

泳げない理由は、才能ではなく力みと呼吸でした。
まずは沈まないこと、浮くことから始めれば大丈夫です。
- 壁につかまって10秒、脚を浮かせてみる
- 大きく吸って、ゆっくり吐く呼吸を意識する
- すいた時間に、5mのけのびを何度か繰り返す
ひとことアドバイス
水と仲良くなるのが先、泳ぎはその後からついてきます。
ぜひ次にプールへ行く日は、
「今日は浮くだけ」
を目標にしてみてください。