ランニングを始めてしばらく経つと、足の痛みで止まってしまう人は少なくありません。
中でもよく耳にするのが、膝まわりの悩みです。
「走ると膝が痛くなって、結局やめてしまう」
そんな声を、走る習慣のある人からよく聞きます。
ある土曜の朝、公園を一周しただけで膝の外側がズキッとして、ベンチで足を抱えてしまう。
そんな経験があると、走ること自体がこわくなりますよね。
ただ、膝の痛みの多くは、走り方の小さなクセから来ています。
そこを見直せば、走りは驚くほど軽くなります。
走ると膝が痛くなる理由

まず、なぜ走ると膝が痛むのか、その仕組みから見ていきましょう。
原因がわかると、対策もぐっと立てやすくなります。
膝はクッションではない
走るとき、片足には体重の何倍もの力がかかります。
その衝撃を受け止めているのが、足首やお尻、太ももの筋肉です。
ところが着地のクセによっては、その力が膝に集中してしまいます。
膝はもともと、強い衝撃を吸収するためにできた場所ではありません。
膝は曲げ伸ばしの関節であって、クッションではない、ここを覚えておくだけで走りが変わります。
クッション役の筋肉を使えないまま走ると、膝ばかりが悲鳴をあげます。
前に出しすぎる着地
痛みが出やすい人に多いのが、足を前へ投げ出す走り方です。
かかとがブレーキのように地面を突くと、衝撃が膝へ跳ね返ってきます。
とはいえ、かかと着地そのものが悪いわけではありません。
問題は、足が体よりずっと前で着くことです。
体の重心から遠い場所で着くほど、関節への負担は大きくなります。
急に距離を伸ばす落とし穴
もうひとつ見落としがちなのが、走る量の増やし方です。
調子がいいと、つい昨日より長く、速くと欲が出ますよね。
けれど体は、急な負荷の変化にはついていけません。
先週まで2キロだった人が、いきなり5キロに伸ばす。
こうした飛躍が、膝のトラブルを招きやすくします。
距離は週に1割ずつ、くらいのゆっくりさで十分です。
ひとことアドバイス
痛みは体からのサインです。
無理に走り続けず、まず原因を一緒に探っていきましょう。
着地を変えると軽くなる

原因が見えてきたら、次は着地そのものを整えていきます。
大きな道具も、特別な練習もいりません。
正直に言うと、フォームの正解は人それぞれで、これがすべてとは限りません。
それでも、多くの人にとっての基本はあります。
足は体の真下で着く
いちばん大事なのは、足を体の真下で着くことです。
前に投げ出すのではなく、お尻の下あたりに足を下ろすイメージで走ります。
そうすると衝撃が真上へ抜けて、膝に跳ね返りにくくなります。
メトロノームに合わせて足を置き直すように、着く位置を少しずつ手前にしてみてください。
最初は窮屈に感じるかもしれませんが、数分で慣れてきますよ。
たったこれだけで膝の軽さが変わるのには、正直、驚きます。
歩幅を狭くテンポを上げる
足を真下で着くコツが、歩幅を少し狭めることです。
大股で走るほど、足は体の前へ遠く着いてしまいます。
歩幅を狭くして、その分だけ脚を回す回数を増やしましょう。
目安は、1分間に180歩前後といわれています。
好きな曲のテンポに合わせると、自然と小刻みなリズムになりますよ。
大股で力強く、より、小刻みで軽やかに。これが膝にやさしい走りです。
上半身の力を抜く
着地ばかりに気を取られると、肩に力が入りがちです。
こぶしをぎゅっと握ると、その緊張は脚にも伝わります。
手のひらは卵をそっと包むくらい、ふわっとさせておきましょう。
上半身がゆるむと、脚も自然とスムーズに動きます。
ひとことアドバイス
フォームは一日では変わりません。
1回の走りで1つだけ意識する、それで十分です。
痛みを防ぐ走りの習慣

フォームに加えて、走る前後の習慣も膝を守ってくれます。
ここを整えるだけで、痛みの出方はずいぶん変わります。
走る前の数分の準備
いきなり走り出すのは、冷えた体には少し乱暴です。
走る前に、その場で足踏みや軽い屈伸を数分入れましょう。
お尻や太ももを動かしておくと、クッション役の筋肉が目覚めます。
固まった関節を動かすのは、朝のメガネのピントを合わせ直すようなものです。
ほんの3分で十分なので、体に走る準備をうながしてあげてください。
走った後のケア
走り終えたあとのひと手間も、次の一歩を軽くします。
太ももの前と後ろ、ふくらはぎをゆっくり伸ばしましょう。
使った筋肉をほぐしておくと、疲れの残り方が変わります。
もし膝に違和感が出たら、その日は冷やして休みましょう。
休む勇気も、走り続けるための立派な技術です。
ひとことアドバイス
走った後の数分のケアが、半年後のあなたの膝を守ります。
気長にいきましょう。
今日からできること

膝の痛みは、才能や体質のせいではありません。
多くは、着地と走る量を見直すことでやわらいでいきます。
- 足は体の真下で着く、前に投げ出さない
- 歩幅を狭く、テンポを上げる、目安は1分180歩前後
- 距離は急に増やさない、週1割ずつゆっくりと
ひとことアドバイス
全部を一度にやろうとしなくて大丈夫です。
今日は足を置く場所、ひとつだけで十分ですよ。
ぜひ次の一歩から、足を置く位置だけ意識してみてください。